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熊本での地震を受けて:今、改めて見直したい「住宅の耐震・減災対策」と建築のプロにできること

〜被災地へのお見舞いとともに:確かな構造計画と、既存住宅を守る具体的な耐震補強のアプローチ〜

被災された皆様、そして復旧に尽力されている皆様へ

2026年7月28日に発生いたしました熊本県を中心とする地震におきまして、被災された皆様、ご家族や関係者の皆様に、謹んで心よりお見舞い申し上げます。

また、発災から数日が経過した今なお、余震への不安が残る厳しい状況の中で、避難生活を余儀なくされている方々、そして現地で命がけの救助活動やインフラ・住まいの復旧に全力で尽力されているすべての皆様に、深く敬意を表するとともに、最大限の感謝とエールを送ります。

皆様の安全と、一日も早い穏やかな日常の復旧を、心より祈念いたしております。

はじめに:「いつか来る揺れ」に備える、地域の工務店の使命

日本全国どこにいても、大きな地震は突然訪れます。

この事実に直面するたび、地域の住まいと暮らしを預かる私たち建築業界の人間は、胸が締め付けられる思いとともに、自らの背負う責任の重さを再認識させられます。

地震そのものを止めることはできません。
しかし、「建築の力によって、建物の倒壊を防ぎ、家族の命を守り、被害を最小限に抑える(減災する)」ことは可能です。

新築における妥協のない構造計画はもちろんのこと、国内に数多く存在する「既存住宅ストック」の耐震化・安全確保は、地域の工務店様にとって今まさに取り組むべき緊急の課題です。

本コラムでは、被災地の早期復旧を祈りつつ、私たちが今改めて知っておくべき「本質的な耐震・減災アプローチ」について整理します。

【新築・大改修】
安易な補強に頼らない「確実で強固な構造計画」の徹底

地震対策というと、後付けの補強部材や制震ダンパーといった特定の商品・設備に目が向きがちです。

しかし、家づくりの根本において最も重要なのは、「何かの設備に頼る前に、まず建物自体の構造(骨組み)をしっかりさせること」に他なりません。

骨組み自体が華奢(きゃしゃ)であったり、偏った配置になっていたりすれば、いくら後から設備を追加しても建物本来の粘り強さは発揮できません。

【本質的な耐震アプローチの順番】

1. 【最優先】
強固な構造計画(耐震等級3の確保・偏緻率の改善・直下率の向上)

2. 【基礎】
強固な基礎構造と構造金物の適切な配置

3. 【+αの備え】
その上で、繰り返しの揺れへの配慮や適切な資材選定を検討する

① 「耐震等級3(許容応力度計算)」を標準とする構造設計

単に基準法ギリギリ(耐震等級1)で建てるのではなく、「耐震等級3」かつ「許容応力度計算(構造計算)」に基づいた設計を標準化することが、家族の命と資産を守る第一歩です。

熊本地震(2016年)の際も、耐震等級3で建てられた木造住宅の多くが大きな構造被害を免れ、そのまま住み続けられたことが実証されています。

② 壁配置のバランス(偏心率)と上下階の柱の直下率

平面的な「壁の量」だけでなく、東西南北の壁配置のバランス(偏心率を小さくする)や、1階と2階の柱・耐震壁の位置が揃っているか(直下率を高める)という基本に忠実なプランニングこそが、地震のねじれ現象による倒壊を防ぐ最大の防波堤となります。

まずは「しっかりとした構造を組む」。これが、新築および大規模リノベーションにおける絶対の前提条件です。

【既存住宅】
今すぐ取り組める「耐震診断」と「具体補強」のステップ・費用感

日本の住宅ストックの中には、現行の耐震基準を満たしていない建物や、過去の大きな揺れによって見えないダメージを蓄積している既存住宅が数多く存在します。

施主様から「うちの家は地震に耐えられるだろうか?」と相談された際、工務店様が具体的にどのようなステップで診断を行い、どのような補強工事をいくら程度の費用感で提案できるのか、実務に即した具体的な内容を解説します。

ステップ①:耐震診断(現在の強さを知る)

補強を行う前に、まずは専門家による「耐震診断」を行い、建物の構造耐力(上壊可能性)を数値化(評点化)します。

 一般診断(非破壊調査):図面の確認、目視による外壁・室内・天井裏・床下の点検、基礎のクラック計測などを行います。
・ 概ねの費用感: 10万〜20万円程度 / 戸

※多くの自治体で「耐震診断補助金」制度が用意されており、施主様の自己負担額は無料〜数万円程度で実施できるケースがほとんどです。
まずは自治体の補助金制度を確認・案内することが第一歩となります。

ステップ②:具体的な耐震補強工事の内容と概ねの費用感

診断結果(構造評点)に基づき、数値を安全圏(評点1.0以上、できれば1.25以上)まで引き上げるための具体的な工事を行います。既存住宅における代表的な補強手法と、その概算費用は以下の通りです。

【既存住宅の耐震補強・主な工法と費用感】

1. 壁の補強(耐震壁の増設・構造用合板の施工)
   ⇒ 費用感:約 80万 〜 150万円(壁数か所の補強)

2. 屋根の軽量化(葺き替え・和瓦から金属屋根へ)
   ⇒ 費用感:約 100万 〜 200万円(屋根全体)

3. 基礎の補強(無筋基礎へのアラミド繊維・増し打ち)
   ⇒ 費用感:約 50万 〜 120万円

4. 接合部(金物)の補強(柱頭・柱脚金物の追加)
   ⇒ 費用感:約 30万 〜 60万円

工法1:壁の補強
(構造用合板・耐震パネルの増設)

  • 具体的内容
    建物の倒壊を防ぐため、既存の内壁(クロス・ボード)や外壁の一部を剥がし、柱や筋かいの接合部を強力な耐震金物で固定した上で、「構造用合板」や「高強度な耐震パネル」を打ち付けて耐震壁(体力壁)を増やします。最近では、室内の壁を剥がさずに外側から施工できる「外付け耐震パネル」など、生活しながら施工できる工法も普及しています。

概ねの費用感: 約80万〜150万円
※補強する壁の枚数や内装復旧の範囲による

工法2:屋根の軽量化
(頭重っかちの解消)

  • 具体的内容
    古い木造住宅に多い「土葺きの重い和瓦」は、地震の際に建物を大きく揺らす原因になります。これを軽量な「金属屋根(ガルバリウム鋼板など)」や「防災瓦」へ葺き替えることで、建物全体の重量を劇的に軽くし、揺れの影響を直接的に小さくします。

概ねの費用感: 約100万〜200万円
※足場設置費・既存廃棄費を含む

工法3:基礎の補強と金物補強

  • 具体的内容
    昭和56年以前(旧耐震)の住宅に多い「無筋コンクリート基礎」に対し、鉄筋が入った増し打ち基礎を打ち足したり、エポキシ樹脂・アラミド繊維シートを施工して強度を高めます。同時に、地震時に柱が引き抜けるのを防ぐため、柱と土台・梁を「ホゾ取付け金物」などで強固に固定します。

概ねの費用感: 約50万〜120万円

工法4:全体的な総合耐震改修
(パッケージ工事)

  • 具体的内容
    診断評価「要倒壊(評点0.7未満)」の家を、一連の補強(壁+金物+屋根軽量化)によって「安全(評点1.0以上)」まで引き上げる総合工事です。

概ねの費用感: 約150万〜300万円前後
※自治体の「耐震改修補助金(最大50万〜150万円程度還元)」を活用することで、施主様の実際の持ち出し費用を大幅に抑えることが可能です。

開口部(サッシ・ガラス)の「二次被害防止」と減災アプローチ

耐震補強(構造の強化)と合わせて忘れてはならないのが、「サッシや窓ガラスまわりの防災・減災対策」です。

地震が発生した際、建物の瞬間的な歪みによって「サッシ枠が噛み込んで窓やドアが開かなくなり、家の中に閉じ込められる」「割れた窓ガラスが部屋中や避難経路に飛び散り、足元をすくわれる」といった二重の恐怖(二次被害)が発生します。

① 「ガラス飛散防止」と安全ガラスへの切り替え

既存の単板ガラスは、揺れによって割れると鋭利な破片となって飛散します。

施主様へのアドバイスとして、既存の窓に「防災・飛散防止フィルム」を貼る提案や、リノベーション時に衝撃に強く破片が飛び散らない「防災安全複層ガラス(合わせガラス)」への改修を促すことが、命を守る避難導線の確保につながります。

② サッシの納まりと耐震枠・カバー工法

サッシまわりは建物の歪みの影響をダイレクトに受ける部位です。リフォームや改修時には、歪みに強い納まりを意識し、外壁を傷めずに施工できる「カバー工法」などを活用して開口部の構造健全性を維持することが重要です。

サッシ・建材の専門知識を持つ私たち(㈱HAMAYA)におきましても、どのような開口部資材や仕様が「万が一の減災」に寄与するか、工務店様へ常に的確な資材情報・技術情報を提供できる体制を整えております。

まとめ:地域の住まいを守る「防波堤」として

今回の熊本での地震は、私たち建築に携わるすべての人間に対し、「住まいの安全とは何か」を改めて問いかけています。

被災地の皆様が一日も早く元の生活を取り戻せるよう全力で応援すると同時に、私たちがそれぞれの地域で果たすべき使命は、「次の被害を出さないために、今ある住まいの構造と安全を真剣に見直すこと」です。

  •  新築においては、何よりも「強固な構造計画(耐震等級3)」を妥協なく徹底すること。
  • 既存住宅においては、補助金を賢く活用した「耐震診断」と「適正価格での耐震補強」を地域の施主様へ呼びかけること。
  • 窓や開口部を含めた「避難導線・減災対策」をプロとしてアドバイスすること。

不安を煽る営業ではなく、地域に根ざすプロとしての「正確な知識と誠実な提案」こそが、施主様の信頼を生み、ひいては災害に強い街づくりへとつながります。

私たち株式会社HAMAYAも、確かな資材供給と情報提供を通じて、工務店様の「安全な家づくり」を足元から力強く支えてまいります。ともに地域の住まいを守る防波堤となってまいりましょう。

HAMAYA マーケティング部 小尾
HAMAYA マーケティング部 小尾

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