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「辞めない」建築業界のつくり方

「辞めない」建築業界のつくり方

目次

        1:離職の背景にある「外発的動機」の限界

        2:離職の連鎖を断ち切るために必要な3つの要素

        3:管理者の役割:リーダーから「ファシリテーター」へ

離職の背景にある「外発的動機」の限界

建築業界は、私たちの暮らしを支える重要な産業でありながら、長年高い離職率に悩まされてきました。
その背景には、給与や役職、ノルマ達成といった外発的動機に依存した働き方が深く関わっているのではないでしょうか。

「もっと給料が上がれば頑張れる」「このプロジェクトを成功させれば評価される」—こういった目標は、
一時的なモチベーションにはなります。しかし、これらは達成された瞬間にその効力を失い、新たな目標を設定しなければ、

人の心は満たされません。まるで、走り続けてもゴールが遠のいていくマラソンのようなものです。

特に、現場で働く職人さん、工務店の営業担当者、そして私たちのような流通店に携わる人々にとって、仕事の成果は数字や結果として見えやすい一方で、その仕事のプロセスや個々の成長、チームワークが評価されにくい構造があります。
こうした環境では、個々の働きがいや、仕事に対する内側からの情熱である内発的動機が育まれにくく、結果的に「この仕事は自分にとって何なのだろう」という疑問が生まれ、離職につながってしまうのです。

離職の連鎖を断ち切るために必要な3つの要素

では、どうすればこの離職の連鎖を断ち切ることができるのでしょうか。私達は、以下の3つの要素が鍵となると考えています。

1. 「共感」を軸にしたチームの形成

人は、自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できた時、大きなやりがいを感じます。それは、お客様に喜んでもらえた時かもしれませんし、共に働く仲間が助かった時かもしれません。この「役に立つ」という感覚は、相手への共感から生まれます。

従来の建築業界では、プロジェクトごとに各専門職が分断され、それぞれが自分の役割だけをこなすことが多かったように
思います。しかし、これでは個々の仕事が全体の中でどういう意味を持つのかが見えにくくなってしまいます。

HAMAYAでは、この状況を変えるべく、チーム全体でひとつの目標に向かって進む「ワンチーム」体制を強化しています。工務店様との商談においても、単に製品を販売するだけでなく、工務店様がどのような想いで家づくりをされているのか、そしてその先にいるお客様がどんな暮らしを望んでいるのかを深く理解することに努めています。

私たちが提供する建材ひとつひとつが、お客様の夢のマイホームを実現する上で、欠かせないパズルのピースとなる。そうした
共感の輪を広げることで、私たちの仕事は単なる「モノ売り」から、「お客様の夢を形にするお手伝い」へと変わっていくのです。

2. 「対話」を促すコミュニケーションの質向上

仕事のやりがいを育むためには、日々のコミュニケーションが不可欠です。しかし、忙しい現場では、どうしても業務連絡が
中心になりがちです。

「あの現場の資材、いつ届くの?」 「この図面、修正しておいて」

こうした一方的な指示だけでは、仕事の背景にある意図や、相手の気持ちを汲み取ることはできません。これでは、まるでロボットのようにタスクをこなすだけになってしまい、仕事に対する主体性や創造性は育まれません。

HAMAYAでは、上司と部下が対等な立場で対話できる機会を大切にしています。定期的な1on1ミーティングはもちろんのこと、日常の何気ない雑談の中にも、お互いの価値観や考えを理解するヒントが隠されています。

たとえば、「この現場、とてもこだわってらっしゃるから、もっと特別なご提案ができないかな?」といった上司の問いかけから、部下は「お客様の期待を超える」という新たな目標を見出します。また、部下からの「お客様からこんなご相談があったのですが、どうすれば良いでしょうか?」といった質問に真摯に向き合うことで、上司は部下の成長をサポートし、信頼関係を築くことができます。

こうした質の高いコミュニケーションは、仕事の進捗だけでなく、個人のキャリアプランやプライベートの悩みまで、安心して話せる関係性を構築します。それが、社内の心理的安全性を高め、社員一人ひとりが自分らしく働ける環境へとつながっていくのです。

3. 「パートナー」としての関係性の再構築

建築業界における「パートナー」とは、単に「取引先」を指す言葉ではありません。それは、共に課題を乗り越え、共に成長していく「共創関係」を意味します。

工務店様との関係も例外ではありません。私たちは、工務店様を「お客様」として扱うだけでなく、共に家づくりという大仕事を成し遂げるパートナーとして尊重しています。

工務店様が抱える課題—資材の納期遅延、コスト高騰、そして人手不足。これらの課題を解決するためには、私たちの持つ専門知識や情報提供が不可欠です。私たちは、単に注文されたものを納品するのではなく、工務店様のご要望を深く理解し、
コストパフォーマンスに優れた代替品を提案したり、最新の技術情報を共有したりしています。

また、工務店様の抱える人材育成の課題にも、パートナーとして寄り添いたいと考えています。
たとえば、新しい建材の勉強会を共同で開催したり、現場管理の効率化ツールを紹介したりすることで、工務店様の業務改善をサポートしています。

こうした取り組みを通じて、私たちは工務店様から「HAMAYAと組んで良かった」と思っていただける
存在を目指しています。この信頼関係こそが、私たち自身の仕事に対する誇りとなり、内発的動機を
高める源泉となるのです。

管理者の役割:リーダーから「ファシリテーター」へ

これからの時代、管理者の役割は大きく変わっていくべきです。従来の「指示・命令」型のリーダーシップから、個々の力を引き出す「ファシリテーター」としての役割が求められます。

ファシリテーターとしての管理者は、部下の強みや可能性を信じ、それを最大限に発揮できる環境を整えます。

     聴くこと: 部下の話に耳を傾け、彼らが本当にやりたいこと、困っていることを引き出します。

     問いを投げかけること: 答えを教えるのではなく、「どうすれば解決できると思う?」と問いかけ、部下自身に考えさせ、成長を促します。

     承認すること: 小さな成果でも、その努力や貢献を具体的に言葉にして認め、自信を持たせます。

このようなファシリテーション型のマネジメントは、部下個人の内発的動機を高めるだけでなく、チーム全体の活力を生み出します。管理者が一方的に引っ張るのではなく、チームメンバー全員が主体的に目標達成に向けて動くようになるからです。

HAMAYAでは、管理職研修を通じて、このファシリテーションスキルを磨くことに注力しています。
それは、社員一人ひとりが「この会社で働いていて良かった」と思えるような、温かく、かつプロフェッショナルな組織を創り上げていくためです。

結びに:共育(きょういく)という未来

私たちは、人材を「育てる」だけでなく、共に「育っていく」という考え方を大切にしています。社員一人ひとりが、お客様やパートナーである工務店様、そして共に働く仲間から刺激を受け、学び、成長していく。そうした「共育」のサイクルを組織全体で回していくことが、私たちの目指す姿です。

給与や役職といった外発的動機ももちろん重要です。しかし、それに加えて、内発的動機が育まれる環境こそが、長期的な人材の定着と、業界全体の活性化につながると信じています。

私たちHAMAYAは、これからも工務店様のパートナーとして、また、働く社員一人ひとりの成長を支える組織として、より良い未来を共につくり上げていきたいと考えています。

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