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ナフサの今 これがリアルだ!

「ナフサの輸入調達量は、従来の85%まで回復した」

最近、ネットのニュースやSNSのタイムラインで、こんな前向きな見出しを見かけた方も多いのではないでしょうか。
「政府の支援も広がってきたし、もしかして最悪の期は脱したのかな?」と、ちょっとホッとされている空気も漂っているようです。
でも、建築資材流通の最前線に立つ私たち株式会社HAMAYAで調べた現実とは、ちょっと違います。

大手の商社さんや管材問屋(かんざいどんや)さん、そして地元のビルダーの皆様と毎日リアルにお話をする中で見えてきたのは、ニュースの数字だけでは分からない、ちょっと複雑で切実な「現場のリアル」です。

今、市場の裏側で一体何が起きているのか。そして、一見すると明るいニュースの陰に隠れた「新しい落とし穴」とは何なのか。
今日現在の生きた情報をもとに、分かりやすく解き明かしていきたいと思います!

ニュースの数字と、現場がズレるワケ

「材料の輸入が8割以上も戻っているなら、どうして現場に資材が届きにくいの?」と疑問に思いますよね。ここには、石油から化学製品を作るときの、ちょっとした「ねじれ」があるんです。

株式会社HAMAYAで色々と調べたところ、油(ナフサ)を精製するときにたくさんできる「エチレン」などの主原料は、確かに回復しています。

でも、私たちが今一番ほしい塗料や接着剤、パテの材料になる「副産物(トルエンやキシレンなど)」は、実は全然足りていない状態が続いています。

国益という大きな視点で見ると、国が真っ先に守りたいのは、電気を止めないための燃料や、物流のトラックを走らせるためのガソリンです。そこさえ満たされれば、ニュースでは「回復」と報道されます。でも、建材にまわるはずの細かい成分が足りないことについては、国も分かっていながら、今は「見て見ぬふり」をせざるを得ないのが冷徹な現実なのです。
さらに、代わりに新しく入ってきたアメリカ産の油は、今まで使い慣れていた中東産の油と「中身の成分」が違います。そのため、油全体の量はあっても、住宅建材に必要な特定の成分の製造ラインは、今も目詰まりを起こしたまま。
「コーキング材や配管用の接着剤がそもそも入ってこない!」と現場で言われているのは、この成分のミスマッチが原因です。

品目別の供給リアルステータス

実際のデータや皆様からの声をベースに、資材ごとの今の状況を分かりやすく4つのグラデーションに色分けしてみました。

資材分類

現場のリアルな供給状況・ビルダーの動向

逼迫度

接着剤・コーキング・パテ

「不足」というより「そもそも入荷しない」状態です。内装下地のパテが足りなくて、塗装やクロスを貼る手前で現場がストップしてしまう事例が相次いでいます。

🔴 極めて深刻

塩ビ管・配管部材

大手の問屋さんは「受注停止」や「実績のある会社限定の出荷」を続けています。世の中に全くないわけではないですが、過去の実績に応じて割り振られるため、新規や中小の会社様の手元には「本当に届かない」状況です。

🔴 極めて深刻

断熱材(ボード系)

フェノール系(ネオマなど)やポリスチレン系は、納期遅延がかなり激しく混乱しています。一部のビルダー様は、別の種類(ミラフォーム)に変えたり、床下にグラスウールを工夫して詰め込んだりと、苦肉の策で対応されています。

🟡 深刻・遅延

グラスウール・塗料

各メーカーとも少しずつ回復していますが、ボード系断熱材が足りないせいで、みんながグラスウールに一斉に流れて「需要の渋滞」が起きています。塗料は、石油成分の多いものが一部欠品しています。

🟡 遅延・要確認

かつての「米騒動」のような在庫の抱え込み

「世の中に本当にモノがないの?」という疑問に対して、大手建材商社さんなどからは、ちょっと意外な裏事情も聞こえてきます。

実は、工場からの出荷が完全にゼロになったわけではありません。ただ、その貴重な物資は「過去の実績」というフィルターによって、かなり厳しく選別されています。
実績の多い大手のハウスメーカーさん向けの物量はなんとか確保されている一方で、1〜2棟規模の地元の工務店様向けの出荷は、どうしても後回しになりやすい環境があります。

現場の担当者さんからは、「大元にはある程度在庫があるはずだけど、今一気に出荷してしまうと、メーカーや問屋さんも価格改定(値上げ)がしづらくなる。だから、かつての米騒動のときのように、様子を見ながら小出しにしている気配がある」という声も。

こうした心理的な駆け引きが、現場の不足感をさらに強めてしまっている面もあるようです。

新しい海外ルートの誘惑と、サイズ(規格)の罠

国内のメーカーさんが過去の実績に合わせて出荷を絞る中、市場では新しい動きも出てきています。

「日本は今、資材が高く売れるブルーオーシャン(狙い目の市場)だ!」と見定めて、従来とは違う海外ルートから塩ビ管などをたくさん仕入れようとする動きです。

「国内にないなら、海外のものを使えばいいじゃないか」と思うのは当然ですよね。でも、ここには現場の実務者として、すごく慎重に見極めるべきポイントがあります。
それが、サイズ(寸法規格:パイπ)の壁です。

日本の現場で使う配管は、JIS規格(VP管・VU管など)で、外径や肉厚がミリ単位で厳密に決まっています。海外の「日本向け・互換品」を謳う製品であっても、実際に現場で日本の継手(エルボなど)と合わせたとき、本当にごくわずかなズレのせいで接着剤がうまく乗らず、水圧テストのときに目に見えない微小な水漏れを起こしてしまった……という事例が、早くも報告され始めています。

株式会社HAMAYAとしては、皆様の現場の安全を守るためにも、この出所がはっきりしない他国ルート製品の採用には、慎重すぎるくらいの確認が必要だと考えています。

住設大手の納期回復と、そこに隠された「新しいねじれ」

そんなハラハラする状況が続く中、本日、ちょっと明るい情報が入ってきました!大手住宅設備メーカーのTOTOさんもLIXILさんも「おおむね通常納期に戻る」、といっても約1ケ月弱、、、しかし、依然「トイレや一部の商品」は少し納期がかかってしまうようです。
4月の危機直後、お風呂などの受注停止や納期未定で業界を大きく揺るがした両社ですが、これほど早く回復してきているのは、さすが大手ならではの「強い調達力」があるからです。彼らは国内の事情に頼らず、独自の海外ルートから高値を払ってでも部材を直接買い付け、たまっていた注文を片付ける目処を立てました。

ただ、「トイレだけは遅れる」と言っている点には注意が必要です。トイレ(温水洗浄便座)は、特殊な樹脂や精密なバルブ、パッキンなどがギュッと詰まった、建材の中でも「最も石油の成分が凝縮された精密機械」だからです。
お風呂の浴槽のような大きな成形品よりも、細かい特殊な樹脂パーツのほうが、油のミスマッチの影響を最後まで引きずってしまっています。

そして、株式会社HAMAYAが本日、一番皆様にお伝えしたい「現場のリアル」はここから先にあります。

「お風呂やキッチンが、納期(約1ヶ月)で現場に届くこと」と、「そのお風呂やキッチンが、実際に使える状態に設置できるか」は、まったくの別問題なんです。ここに、誰も気づいていない「新たなねじれ」が潜んでいます。
お風呂の本体が現場に届いても、それを組み立てるための「専用の接着剤」や、隙間を埋める「コーキング材」、配管をつなぐ「専用ボンド」は、先ほどの表の通り、今も「そもそも入荷していない」状態です。
さらに、キッチンを据え付ける前に、キッチンの後ろの壁を平らにする「パテ」が内装屋さんの手元になければ、壁が仕上がらず、設備を固定する工事そのものに進めません。

つまり、今の市場の歪みのせいで、「数万円〜数十万円の大きな住宅設備(本体)は入ってくるようになったけれど、数百円〜数千円の小さな化学製品(副資材)が足りないために、結局現場が完成しない」という、なんとも理不尽な玉突き事故が起きてしまっているのです。

現場の玉突き事故と「確実な完工」へのアプローチ

現在、多くの現場を悩ませているのが、断熱材の遅れからくる「工期の玉突き事故」です。ボード系の断熱材が厳しくなったことで、多くのビルダー様が代替品としてグラスウールへ一斉に切り替えました。

でも、グラスウール自体はガラスの繊維ですが、それを包んでいる透明なフィルムはポリエチレン、つまり石油からできる化学製品です。ただでさえ材料が足りないところにみんなの注文が集中したため、グラスウールも納期遅れが慢性化。
「断熱材が遅れるから壁のボードが貼れず、大工さんの工事が止まり、その後に待っている塗装屋さんやクロス屋さんが現場に入れない」という悪循環が起きやすくなっています。

「現場は絶対に止めたくない」「約束した引き渡し日に間に合わせたい」。これは、モノづくりに携わる者として当然の、そして最も素晴らしい想いです。
株式会社HAMAYAもその想いを共有する仲間として、材料確保の努力は1ミリも惜しむつもりはありません。

だからこそ、無理に工事を急がせてしまい、あと一歩というところでパテや接着剤が届かず立ち往生し、結果としてお施主様への引き渡しや入金がズレ込んでしまう……という一番苦しい事態だけは避けたいものです。

今は、焦って現場を急がせるのではなく、「資材が確実に手元に届くタイムラインに合わせて、現場の進捗を上手にコントロールする」という、一歩先を見据えた工程調整(マネジメント)が、とても大切になってきます。

結びにかえて ―― 現場の「本当の声」で難局を切り拓く

国が示す大きなお話や、メディアが流す楽観論、あるいは「住設の本体が戻ってきた」という表面的なニュースは、今日皆さんが直面している「パテが1袋足りない」「コーキングが来ない」という目の前の局地戦の解決にはなかなか結びつきません。
だからこそ、私たちは外側のノイズに惑わされず、足元の「リアル」でしっかりと繋がることが大切です。

「TOTOやLIXILの本体は、メーカーの努力で通常納期に戻りつつあります。ですが、それを現場で取り付けるためのコーキング、専用接着剤、下地用のパテは今も深刻に入荷していません。本体の手配と同時に、取り付けるための副資材が職人さんの手元にあるか、必ずセットで確認してくださいね」

こんな風にお得意先様に一歩踏み込んだ状況を共有して差し上げることが、皆様の会社を「資材はあるのに完工できない」というリスクから守るための、強い防衛線になります。
無理に背伸びをする必要はありません。

確実な資材の裏付けをベースに、一歩ずつ、しかし確実に完工への道筋を共につくっていきましょう!

HAMAYA マーケティング部 小尾
HAMAYA マーケティング部 小尾

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